「おいしい写真屋さん」による作品展のお知らせや、
書評、日々思ったことなどなど
<< 梅を漬ける | main | 『ニッポン、ほんとに格差社会?』 >>

♯ 『ルポ 貧困大国アメリカ』

まだ米系の外資で働いていた頃、
本社スタッフが日本支店の総務を見直しにやって来ました。
1ヶ月ほどの長期出張だったので、
この間とばかりにアメリカの会社についていろいろ訊ねてみます。
その時に、彼女が奥歯にモノの挟まった話し方をしたのが、
健康保険について。
アメリカはどこの企業で働いていても、日本のような社会保険に加入するわけではなく、
民間の保険会社と契約し、病院にかかればそこから支払われるとか。
へー、お国変わればいろいろ違うもんだ、と彼女のスッキリしない表情に感じたことはありましたが、それ以上詮索することなく話題を変えました。

この本を読むことで、彼女の顔の曇りが理解できるようになるとは。。。

一ジャーナリストが書いた本ですので、我々が日常見聞きする情報とはまったく異なります。
アメリカのメディアが真実をまったく伝えていないと断言はできませんが、
ABCやNBCを見ながら、はたまたワシントン・ポストやN.Yタイムズを読みながら、
100%その内容を信じている人はいないでしょう。
この本は、その伝えられていない部分を、我々日本人に分かりやすく教えてくれています。

その一つが、さきほど挙げたアメリカの健康保険のシステムです。
今、日本では正社員として入社すれば、漏れなく健康保険が付いてきます。
もちろん、所帯持ちであれば家族全員分です。
米系の外資で働いていたときも、日本支店は日本の雇用に倣うので、
もちろん健康保険、雇用保険、40歳を超えれば介護保険などを給料から天引きされていました。
これが当然の世の中で暮らしていると、どこの国でもそうだと思います。

でも、アメリカは違う。
保険会社と契約している企業自体が6割程度で、
残りの4割で働いている人たちは、個人で加入しないといけません
(ちなみに、働いていた会社はアメリカではそこそこ大きかったので、
会社で契約していたとは思います)。
しかし、低所得者は保険料を払えないため、自費で病院にかかることになります。
全額自己負担ですから、当然支払能力はないので、
そういう人たちは病気でも医者に診てもらえないのです。
この状況は日本のメディアを通じてある程度は知っていました。
だから、アメリカ人は病気にならないようにさまざまなサプリメントを摂取するのだ、と。

ここからまた違う視点で触れた問題点を、この本は見せています。
アメリカの語られない現実ですね。
教育問題や戦争ビジネスについても、微に入り細に渡り書かれています。
ジャパンタイムズでは知りえないことばかり。

日本という国も今、さまざまな問題点を抱えていますが、
アメリカに較べればなんと平和なことか、と思ってしまいます。
しかし、日本も資本主義国家で、この流れにすでに乗ってしまっているのですよね。
どうして早い段階で方向転換できなかったんだ?と、
政治に無関心だった人間は今にして思います。爆

世界の幸福度ランキングで、デンマークやスイスが上位に名を連ねているのは当然にしても、
アメリカだって23位に位置しています。
平均しても、みんなそれなりに幸せを感じているのです。
ここがアメリカという国の不思議なところで、それが人が集まる所以でもあるのでしょう。
日本なんて、今のこの状況で90位ですよ。
上がること、あるのかしら。。。

『ルポ 貧困大国アメリカ』
堤未果著 岩波新書
| 読書 | 22:00 | comments(2) | trackbacks(0) | | |

♯ コメント

うん、その4割は本当に小さい企業だと思う。仕事を得るとき、保険サービスを見比べたりするのも、アメリカらしいのかなあ。ペパバはこの間保険制度を変えたので、(もちろん、会社が提供してくれている中でだけど)保険の効かない1週間が生まれました。そのときに限って、原因不明の嘔吐下痢を30分間隔で6時間程続けたそうな・・・。それでも病院に行かなかったのは、保険が効かないから・・・。でも朝の6時に電話かけてきて(こっち時間の)「寝そう。30分して電話して、僕が起きなかったら救急車呼んで・・・」これが日本なら、さっさと病院行ってるよねぇ・・・。
そういえば、私は学生ですし、研究所では一番下から2番目の位のレベルなのに、保険ちゃんと付いてきます。一年間で13万分位です。これで、超低レベルのサービスしか受けられません。目や歯の保険はないです。涙。

でもね、アメリカは個人が自由に使えるお金が多いと思います。税金がサホド高くないように思うし、もし田舎に住んでたら、日本ほど生活費かからないし、だから日本と違って余計格差が生まれているんだろうなと思います。

それにしても、このたまに聞く「幸福度って何なんでしょう。」一体どうやって調べるんですか??まさか「あなたは幸せですか??」って聞くわけじゃないだろうし、幸福度なんて、とても主観的なものなのに、どうやってはかるのでしょう・・・。ふぅ。
| pe | 2008/06/11 11:08 AM |
おそらく、ペパバ氏は「保険がない!」ことで不安に陥り、そのような症状を発症したのではないでしょうか
(そんなにヤワじゃないって? 爆)。

目と歯の治療が一番身近ではないですか!
なのに保険が効かないというのは、まさに「涙」ですな。

幸福度の調査方法は確かに謎。
アンケート方式でいろいろ質問して、
その回答を度数として数値化しているのではないかなあ
(←推測)

そういやこの本、昨日、日本のジャーナリスト大賞だかなんだか名誉ある賞をもらってました。
| m | 2008/06/12 5:13 PM |

♯ コメントする









コメントをプレビューする?
ご利用のブラウザ、設定ではご利用になれません。


♯ この記事のトラックバックURL

♯ トラックバック

≡ PROFILE ≡
≡CALENDAR≡
<< September 2018 >>
SunMonTueWedThuFriSat
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30      
≡SELECTED ENTRIES≡
≡CATEGORIES≡
≡ARCHIVES≡
≡COMMENTS ×
≡TRACKBACKS ×
≡LINKS≡
≡RECOMMEND ×

 素材満載 ブログで作る かんたんホームページ [CD-ROM付き]